written by めぐ












◆第13話◆



あの真夏の日の中庭で、マヤはある種の悟りを開いたのだった。

あれほどマヤを追い詰めた右目の痙攣は、その吹っ切った諸々の想いと共に、やがて消えていった。

少しずつ気持ちが前向きになっていく。
看護師や由布子が止めてもリハビリを続け、食事も残さず食べ、段々元の状態に戻っていく。



そういえば、コンビニのバイト、無断欠勤しちゃったから、とっくにクビなのかな?
せめてあのときのお給料が貰えれば、きっとこれからの役にも立つだろうに。

麗にも全然連絡しなくて、心配かけているかなぁ。

亜弓さん、目の具合はその後どうなのかなぁ。



紅天女―――亜古夜の心が全然掴めなかったけど、今ならちょっとだけわかる気がする。
私の阿古夜を、早く黒沼先生にみてもらいたい。
ちゃんとお稽古をつけてもらいたい。
きっと、まだまだ駄目だしを食らうと思うけれど。

ああ。やっぱり私にお芝居しかないんだ。

単純だな、私って。










聖は、真澄の気持ちをマヤに代弁してしまったことを、真澄には告げなかった。

あのとき、マヤは確かに「ありがとう」と言った。
あれは、確かに真意が伝わった感触だった。

けれど、二人の置かれている状況に何ら変わりはない。

真澄の思いを伝えてしまったことで、かえって徒にマヤを苦しめるかもしれないと今更ながら思い至ったが、過ぎたことを蒸し返しても仕方がない。

いつも、どんな困難をも乗り越えてきたマヤの底力を目の当たりにしてきている。
今回もどうか……と祈るように、ただ信じるだけである。



一方真澄は、マヤが順調に快復してきているという由布子からの連絡を受け、再び病院を訪れることにした。





07.17.2006


…to be continued









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